サプリメントは食品だから「いくら摂取しても大丈夫」や「一般食品や天然のものから抽出だから安心」といった言葉は今でも聞かれます。
しかし過去からサプリメント摂取による健康障害や死亡事故は数多く存在しています。
正しい知識と医師・薬剤師に相談して摂取することを心がけましょう。以下に代表的なサプリメントによる死亡事故例を紹介します。
■ トリプトファン
1989年秋から1990年初頭にかけてのアメリカ合衆国において、日本メーカーが製造した必須アミノ酸であるL-トリプトファンを含む健康食品を摂取した人の血中に好酸球が異常に増加して筋肉痛や発疹を伴う症例、好酸球増加筋肉痛症候群(eosinophilia–myalgia syndrome - EMS)が大規模に発生した事件である。FDAのサイトによると、被害は1,500件以上、死者38名と記録されています。
■ ウコン
薬剤性肝障害22例のうちウコンによるものが11例あると述べられている(摂取量、摂取期間、また、摂取した対象者は不明である)。また日本肝臓学会の診断基準を満たした薬剤性肝障害症例(14施設 84症例)のうち、ウコンによる薬剤性肝障害は25%を占めたとされた。なお医療機関で処方される医薬品漢方薬の中には、ウコンを含有するものは存在しない。2004年10月、肝硬変の女性患者が粉末のウコンを毎日スプーン1杯のみ始めたところ約2週間後に症状が悪化して入院、約3カ月後に死亡した症例が報告されています。
■ エフェドラ
エフェドラ(マオウ)は中国やインドにおいて、風邪、発熱、頭痛、咳、喘鳴などの症状・疾患に対する治療に薬用として使用されてきた長い歴史があります。エフェドラ/エフェドリンを含有するサプリメント(通常はカフェインとの合剤)には、短期的な減量効果がわずかにあるみとめられていました。ダイエットをしたい人、活動性を高め、筋肉質の体を作りたいボディビルダーやハイな気分を味わいたい人などに使用され、エフェドラの副作用報告は、1993年頃からありました。事例として水泳とテニスの好きな男性が、エフェドラ製品を飲み始めて3週間後、テニスから帰宅した後に冠動脈血栓で死亡しました。 そのほか、1996年には、20歳の大学生がエフェドラ製品服用後に死亡しました。1997年には薬物乱用歴のない健康な23歳の男性がエフェドリン25mg入りドリンクを服用後に死亡しました。等報告されています。
■ 天天素
2005年、ダイエット用健康食品「品名:天天素」から医薬品成分のシブトラミン、マジンド-ルが検出されたことが厚生労働省から発表され、新聞やテレビなどでも大きく報じられました。また、この製品によると疑われる健康被害は、全国において120例報告されています。10代女性での死亡例も報告されています。
■ 紅麹
2024年に国内製薬会社が販売している紅麹サプリを服用している方から少なくとも6人の死者を含む健康被害を多数出した事件。
入院者数は240人以上となった。有毒・有害な物質が含まれている疑いがあるとして食品衛生法に基づき回収が命じられた。同社の紅麹原料は他社にも供給され、菓子やパン、酒、味噌等に使われており、問題が拡大した。さらに、国内にとどまらず被害は紅麹原料を使った製品が販売されていた台湾にまで拡大し、2024年3月に衛生福利部食品薬物管理署から得た情報として6件の急性腎不全などの健康被害が報告された。
販売会社によれば、サプリに使われた紅麹原料の一部から想定外の物質が見つかったと報告されたが同定はされなかった。
2024年4月以降、死者数に関して毎日厚生労働省に報告が指導されていたが、販売会社の独断により死者数の更新がまったく行われていないことが、同年6月に厚生労働省側が再度問い合わせたことにより判明した。これにより紅麹サプリが関連すると疑われる死者数は80人以上に上る可能性が生じることとなった。
直接的な死亡原因が腎関連疾患のものの他にも、その他の疾患によるものもあるとされ、厚生労働省は、調査結果より青カビが混入して作られたとみられる「プベルル酸」が、原因物質だとほぼ確定したと公表しました。